共同通信が次のような記事を配信した(6月30日21時21分)。
「安定的な皇位継承策を議論する有識者会議(座長・清家篤)は
30日の第8回会合で、皇族数の減少対策として、
『女性宮家』創設など女性皇族が結婚後も皇族の身分を
維持すること、旧宮家(旧皇族)の男系男子が皇族となることの
2案に絞り込み、議論していくことを確認した。
有識者会議はこの方針に基づき、菅義偉首相への答申をまとめる方針だ。
政府は答申を踏まえ、秋までに議論の結果を国会に報告する。
清家氏は記者団に『秋篠宮さまの長男悠仁さまの長男の世代で、
十分な皇族数が皇室にいていただく必要がある』と説明した」《一代限りの女性宮家案に逃げ込む?》
同会合の前日、私はさる打ち合わせの場で、
今回の有識者会議の「答申」を巡り、以下のような見通しを示しておいた。「一代限りの女性宮家案」と「旧宮家案」を軸にした内容になる気配が濃厚。
しかし後者は、(男系限定維持派への政治的配慮から)答申に
盛り込まれたとしても、憲法が禁じる「門地による差別」に当たり、
“国民平等の原則”に違反する疑いが既に指摘されている。なので、他のテーマならともかく、皇室について憲法に違反する
虞れがあるような方策は、(政府が発狂でもしない限り)結局、
国会への「報告」から除外するしかないはずだ。
その一方、女性宮家も“一代限り”であれば、附帯決議が求めた
「安定的な皇位継承を確保する」ことには繋がらない。
目先だけの「皇族数の減少対策」でしかない。
それはまさに、国会が全会一致で議決した附帯決議への、
裏切り以外の何物でもない。《国会の総意による決定》
そもそもこの問題は、政府の一諮問機関に過ぎない
有識者会議の答申ごときで結論が決まるような、
軽々しいものではない。
ご譲位を可能にした法整備の際に、国会の全政党・会派が一堂に会して
合意を形成したのと同じような、(或いはそれ以上に)丁寧な手順を踏んで、
国会の総意によってこそ、決せられるべきだ
(その前に皇室のご内意を拝すべきことは勿論)。従って、国民の代表機関である国会の良識によって、
政府の姑息な誤魔化しと問題解決の事実上の“先延ばし”を、
しっかり押し戻して貰う必要がある、と。共同通信の報道を見ると、有識者会議での議論のとりまとめは、
残念ながら私の見込み通りの展開になりそうだ。
しかし、最悪、そうした展開になった場合でも、諦める訳にはいかない。
国会がどれだけ本来の筋を通すことが出来るか。
その国会を国民がどれだけ後押しすることが出来るか。
皇位の安定継承を目指す取り組みは、いよいよ正念場が近づいている。【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/
BLOGブログ